波尾の選択 傑物たちの至言に触れて

名言を超えた至言。生を突き詰める傑物達。至言に触れて触発された想いを綴ります

文学

1969年

波尾哲のブログー1969年 1969年の出来事 1969年の賞 1969年のランキング 1969年のtopics ★ちょうど50年前の1969年。 これからもつどつど、更新、修正していくブログです。 ディレクターズカット ウッドストック 愛と平和と音楽の3 日間 [Blu-ray] 出版社/メ…

傑物の至言-47 安部公房

日本では、あの作品の批評で、ラストが“希望のはじまり”と受けとるものがあった。しかし、そういう次元で割り切られたら困るんだなあ。もし、そんなふうに割り切れてしまうのなら、文学の世界、その存在理由が意味をもたなくなるじゃないか。小説はいらなく…

傑物の至言-46 中上健次

われわれ、例えば高速道路をつけようとしている、あるいは空港を設けようという、それは政治や経済のスローガンですよ。ところが、政治というか皆さん方は、高速道路をつけることが自己目的、目的化してしまう。あるいは空港をつけることが、目的である、本…

傑物の至言-45 岸田秀

日本の近代は明治維新以来のナショナリズムの動員に由来します。しかし戦後は、戦勝国アメリカが標榜する自由と民主主義に基づく価値観に全面更新されました。 戦後の日本人を精神分析すると、「攻撃者との同一視」がうかがえます。疑似的に勝者の立場に身を…

傑物の至言-44 倉本聰-2

みんな、ものを考えなさすぎる。上の方からの発想ではなく、もっと下から物事を見て、視野や議論の場を広げなければいけない。海抜ゼロから考える姿勢が必要な時代に来ている」 「未来は暗いですよ。若い人たちを見ていると、知識はあるけど、知恵がない。 (…

傑物の至言-43 倉本聰

純「電気がなかったら暮らせませんよッ」 五郎「そんなことないですよ」 純「夜になったらどうするの!」 五郎「夜になったら、寝るンです」 (『北の国から』での台詞) 日本人は便利であることが豊かさであると捉えています。しかし「豊か」を辞書で引くと…

傑物の至言-37 カズオ・イシグロ

自分がどうして小説を書くようになったのかと振り返ってみると、自分にはない記憶を何とかして書き留めるということです。 ー想像力を羽ばたかせて書くのでしょうか それほど羽ばたかせませんね。私はかなり抑制の利いた作家です。 一揃いのテーマが先にあっ…

傑物の至言-36 古井由吉

長い歴史を見ていると、文学はどうも必要なもののようですよ。社会が行き詰まったときを境に、また文学への欲求が出てくると思う。文学の生命は、東西の歴史を見る限りかなり強い。その点で僕は楽観的です。 (中村真理子)=朝日新聞2019年2月6日掲載/最新…

傑物の至言-35 山崎努-2

僕のモットーは、つねに“俳優のアマチュアで、わかっていることはないんだ”ということです。実際、俳優として僕はアマチュアだと思っています。長くやっているから演じる技術は覚えたし、それで食べてもいる。でも、演技について、実は何の確信も自信ももっ…

傑物の至言-34 山崎努-1

自分が好きな人物を演じるのは難しいということが、改めてわかりました。役づくりというのは、その人物の欠点とまではいわないけれど“ 歪み”を見つけることなんです。よくいえば個性とか人柄なんですが、その人物の歪んでいる部分を探り出す。人生のうまくい…

傑物の至言-30 色川武大/阿佐田哲也

全勝を目指しちゃいけないんだ。 人生そんなに上手くゆくわけはないし、 全勝を目指す人は、 弱いところがあってね、 1敗しただけなのに 折れちゃうことがあるんだ。 人生、適当に負けることが大事さ。 アマチュアはね、次の目を丁か、半か、あれこれ思案し…

傑物の至言-26 芥川龍之介

我々の生活に必要な思想は三千年前に尽きたかもしれない。我々はただ古い薪に新しい炎を加えるだけであろう。 矜誇、愛慾、疑惑――あらゆる罪は三千年来、この三者から発してゐる。同時に又恐らくはあらゆる徳も。 物質的欲望を減ずることは必しも平和を齎《…

傑物の至言-19 Sam Shepard(サム・シェパード)

本来、愛国心というのは、政府でなく、国に対する思いのことなんだ。そこがごっちゃにされている。愛国者というと、右翼かと思われる 。 1978年『Days of Heaven(天国の日々)』での光と揺らぎの中での表情 1983年『Right Stuff(ライト・スタッフ)』での…

傑物の至言-17 澁澤龍彦

わたしは、もし生まれ変ることができるものならば、できるだけ下等な動物に生まれ変わりたいとつねづね考えている。進化の段階を逆に下降して、軟体動物や腔腸動物のような美しい単純性に回帰することが出来たら、どんなに幸福であろうかと思う。 ジャン・ジ…

傑物の至言-16 武満徹

日本の楽器はひとつの音でも意味深く、多義的で、西洋音楽のように単純ではない。西洋音楽はどんどん単純化する、ピュアに、綺麗にしていく。尺八の良さはそれと正反対。西洋の音楽が整合性をもった美しいものだとすれば、日本の楽器は整合性が整っていない…

傑物の至言-14 Tarr Béla(タル・ベーラ)

(長回しは)私の映画の言語です。俳優が逃げることができずに状況の囚人となるのです。スタッフ、キャストの全員の集中力、ベストな状態が求められ、カメラが回るそのことが何かを生むのです。また、映画は自分にとって、絵であり、リズムであり、音であり…

傑物の至言-7 蓮實重彦

まったく喜んではおりません。はた迷惑な話だと思っております。80歳の人間にこのような賞を与えるという機会が起こってしまったことは、日本の文化にとって非常に嘆かわしいことだと思っております。 もっともっと若い方~ (ーやっぱり何か情熱やパッショ…

傑物の至言-4 Raymond Chandler (レイモンド・チャンドラー)

The moment a man begins to talk about technique that’s proof that he is fresh out of ideas.技術(テクニック)について話し始めるってときは、そいつにアイデアが枯渇しているってことだ。『The Raymond Chandler Papers: Selected Letters and Nonfic…

傑物の至言-3 池田晶子

私は基本的に、考えたいから考えているだけですが(笑)。二次的な意味としたら、哲学は社会に対する一種の解毒作用があるのでしょう。例えば、みんなが思い込んでいて、それについて考えようとしないことに対して「本当にそうなの?」と水を向けるような作…

傑物の至言-2 夏目漱石

智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。兎角に人の世は住みにくい (夏目漱石「草枕」) 夏目漱石の「草枕」冒頭の、あまりにも有名、あまりにも美しい文。 しかしながら、リズミカルにさらさら流れる言葉の連なりの中、生きること…